2020年05月08日
ステイホームで「西国巡礼」⑥―馬頭観音

ところが、天竜区春野町の「馬頭観音」は違います。
写真の観音石像は、春野町堀之内の瑞雲院山門前に並んでいる苔むした石仏の1体です。台座の部分に刻まれた数字を読んでください。何と読めますか?「十九」?いえ、「廿九」と書いてあります。「廿九=29」、つまり「西国三十三所霊場」の29番札所、京都府舞鶴市の「松尾寺」。ご本尊は「馬頭観音」です。(*写真をクリックすると拡大されて文字が読めるようになります)。
これは、佐久間の馬の冥福を祈って建てた「馬頭観音」とは違い、あくまでも六道の一つ「畜生界」を済度する「馬頭観世音」として建てられたものです。頭上の馬頭が「馬頭観音」の証し。お顔は「馬頭観音」の特徴である憤怒(ふんぬ)の相を表してはいませんが、何となく馬の口を模した「馬頭印」という印相を結んでいるようにも見えます。
民間信仰の「馬頭観音」とは違う六観音としての「馬頭観音」。珍しいと言えば、珍しい石仏です。寄ってみてください!
*記事は「出かけよう!北遠へ ふるさと散歩道」に掲載したもの。ステイホームのため、過去記事を再掲載させていただきました。