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2020年05月10日

ステイホームで「西国巡礼」⑧―十一面観音

十一面観音 「十一面観音」は、顔の上に顔が乗った変化観音(へんげかんのん)。私たち人間の姿に近くて美しい聖観音(しょうかんのん)と比べると、明らかに異形の仏です。「あらゆる方角に顔を向けた仏」を意味する「観自在菩薩」から、頭上に10、あるいは11の顔を持つ観音が誕生しました。

 御手は2本で、聖観音と同じように蓮華を生けた花瓶を持っていますが、古代インドのバラモン教の荒神の色合いを残した「十一面観音」は、決して日本人好みとも思えません。しかし、「西国三十三箇所」の札所のご本尊の中では、「千手観音」の15ヶ寺に次ぐ多さの7ヶ寺を数えています。

 石仏で、11もの顔を並べるのは大変。でも、1つ2つでは、話になりません。3つ4つでは、誰も「十一面観音」だとは信じてくれません。中には私のように、数えてみる人だっています。5つ6つ7つ8つ・・・、石工泣かせの「十一面観音」。

十一面観音 本来は、頭頂に仏面、頭上の正面側に菩薩面(3面)、左側(向かって右)に瞋怒面(3面)、右側(向かって左)に狗牙上出面(3面)、拝観者からは見えない背面に大笑面(1面)の約束事もあるようですが、「そんなこと言われたって・・・」。結局できるのは、この月見団子のような11の顔。よく見れば、この人間離れをしたお姿には、いかにもご利益がありそうです。

 写真はともに、浜松市天竜区春野町堀之内の瑞雲院に立っている石仏です。右の写真は、台座に「十七」の文字が刻まれた「十一面観音」像。「西国三十三箇所」巡礼17番札所「六波羅蜜寺」の本尊は「十一面観音」ですので、この石仏はその「写し」ということになります。(*写真をクリックすると拡大して、「十七」の数字や、寄進者を表す「砂川村」などの文字などが読めるようになります。)

 *記事は「出かけよう!北遠へ ふるさと散歩道」に掲載したもの。ステイホームのため、過去記事を再掲載させていただきました。



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