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2018年06月16日

北遠にあった発電所③―「北遠電氣株式會社」

「北遠電氣株式會社定款」の一部 磐田市見付の佐口行正さんから、ちょっと珍しいものを見せていただきました。それは、A4サイズの「北遠電氣株式會社定款」。

 第一章 緫則

第一條 當會社ハ北遠電氣株式會社ト穪ス
第二條 當會社ハ左ノ業務ヲ營ムヲ以ッテ目的トス
   一、電燈及電力ノ供給
   二、電燈及電力ノ供給ニ附髓スル機械器具ノ賣買貸附
第三條 當會社ハ本店ヲ靜岡縣周智郡熊切村石打松下百九拾八番地ニ設置ス(以下省略)


熊切川の分岐 「靜岡縣周智郡熊切村石打松下百九拾八番地」とは、現在の「浜松市天竜区春野町熊切」。「石打松下198」のお宅を訪ねてみました。

 「もしかしたら、この辺りに発電所がありませんでしたか?」との質問の答えは、「事務所はうちに置いていたようだけど、発電所は下の熊切川にあったはず」。教えていただいたのは、熊切川が不自然に分岐、合流している場所です。

水門 辺りを探索してみると、分岐地点の橋の下は、川の水を導入するような堰が設けられ、コンクリート製の水路が残っています。水路の入口には水門もあるのですが、水門を開ければ、水は発電所があったという方向に向けて流れます。

 多分ここが、大正9年(1920)に設立された「北遠電気」の水力発電所があった場所。「定款」では、「大正十一年六月一日ヨリ」となっていますので、それ以前は「株式會社」ではなかったのかも知れません。昭和13年(1938)からは、中部電力に移管されたようです。

 「事務所を置いていたので、うちには真っ先に電灯が点ったって聞いている」との話。現在、10の電力会社に統合されている電気事業ですが、かつては中小の電力会社の設立され、それぞれの地域に小規模の電力を供給していました。

 その1つが、熊切の「北遠電気」。かつての北遠には、こんな小さな水力発電所があったのです。



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