2019年10月17日
内山真龍資料館で見た引き札①―蠶卵製造販賣所

「サス」は商人や農民が名乗ることを禁じられていた名字に代わり、人別判別のために名乗っていた称号の1つ。かつての掛塚にあった「サス中」松下商店の屋号と同じように、2本の直線を山のように交差し、その下に、名字の1字である「小」を組み合わせています。
横長に刷られている単色の引き札には「紀元二千五百五十三年」とあり明治26年(1893)、縦長のものは「神武天皇即位紀元二千五百五十二年」であり、同25年(1892)のもの。
「蠶卵製造販賣所」の「蠶」の字は「蚕」の旧字ですから、現代風に書き直せば「蚕卵製造販売所」となり、養蚕に使う蚕に「蚕種」とも呼ばれた卵を産ませ、卵が産み付けられた蚕種紙(さんしゅし)・ 蚕卵紙(さんらんし)を販売する商店です。

横長の引き札に描かれているのは「蠶牛馬守護 保食大神(うけもちのおおかみ)」。聞き慣れない名前の「保食大神」とは養蚕の神様らしく、右手には稲穂を持ち、左手には蚕の餌になる桑の枝を持っています。
その下に描かれているのは、孵化したばかりの蚕に桑の葉をあげているところ。北遠の養蚕は、卵を産ませるところから始めていたことがよく分かりました。
Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 05:07│Comments(0)
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