2017年12月23日
遠州横須賀の町歩き⑰―松本医院
遠州横須賀で代々にわたり大庄屋(おおじょうや)を務めた松本家は、明治時代に入ると、薬屋『信濃屋』を始めました。その松本家の子息・純一郎が医学の道に進み、明治33年(1900年)、当地に松本医院を開業。以来、地域と向き合った医療が続けられてきました。
同医院の建築は開業当時のもので、和風を基調として、診察室は横長の窓を並べた洋風に造られています。また、玄関の屋根には波形の瓦が使われ、『松』の字入りの鬼瓦が据えられています。玄関を開けるとモザイクタイルの土間が迎えてくれ、その奥に畳敷きの待合室が控え、隅には小さな受付窓口があります。
なお、現在も二代目院長が尽力されている医療機関のため、内部を見学することはできません。(静岡県「ふじのくに文化資源データベース」HPより)
「静岡県のすごい産業遺産」に選ばれている松本医院の中に入れていただいたのは、2年前(2015)の「遠州横須賀街道ちっちゃな文化展」の時。
外観は洋風ですが、内部は和風。格天井には杉杢の板が使われ、欄間は細かな組子で仕上げられています。
横須賀は通り全体がレトロ。時代の変化を柔軟に受け止め、独自の進化をして来た街の良さを感じます。横須賀には、地域振興のヒントが潜んでいるような気がしました。