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2019年11月12日

西渡の「栄枯盛衰」②―解体前の「三井屋呉服店」

解体前の「三井屋呉服店」 10年前(2009)の7月、佐久間町西渡の商店街に残された旧「三井屋呉服店」の建物が近々解体の予定と聞き、現地に行って写真を撮って来ました。

 「三井屋呉服店」さんのような店舗建築は、看板建築と呼ばれています。外観こそ洋風に見えますが、中は木造2階建ての店舗兼住宅。江戸時代以来一般的だった商店は、軒を大きく前面に張り出したもので、出桁造と呼ばれるものでしたが、道路の拡幅等で敷地が狭くなり、狭くなった敷地面積では軒を出すのは不利。かと言って、庇をが道路にはみ出せば違法ですので、前面が平らな建築となりました。

解体前の「三井屋呉服店」 また、各地で頻発した火災から守るため、建物の外側を不燃性の材質で覆う必要があり、それが、「三井屋呉服店」のような擬洋風の看板建築を流行させることになりました。

昔の「三井屋呉服店」 今でこそレトロですが、当時としてはハイカラ。さぞかし、注目を集めたことでしょう。

 そんな「三井屋呉服店」の昔の写真を入手しました。玄関上の「三井屋呉服店」の文字が、はっきりと読むことができます。この文字は、木を銅板で覆ったもの。戦時供出で銅板を剥がされて、現在のように風化してしまったとのことです。

 久根鉱山の盛衰を見て来た西渡の「三井屋呉服店」の看板建築。この後しばらくして、自らの歴史にも幕を引くことになりました。


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