2020年02月14日
東海道・小夜の中山峠を歩く⑮―妊婦の墓
松の根元で自害した妊婦小石姫(三位良政と月小夜姫との間に生まれた子)を葬った所で、墓碑に「往古懐妊女夜泣松三界万霊……旧跡」と刻してあります。(現地の解説より)
そして、この時、生まれた子どもが音八と名付けられ、長じて刃砥師となったというのも、小夜の中山に残る「夜泣石」の伝説の1つです。
そもそも「三界」とは、「欲界、色界、無色界」とか、「過去、現在、未来」を指すと言われています。「等」とは、もちろん「塔」のこと。この種の別字は珍しくありません。
この世、あの世のすべての世界に生きる霊、生きた霊を供養する願い、祈りを込めて建てられた塔。墓石として墓地に建てられたり、道祖神のように集落の境に建てられていることも多く、「小石姫」とか「月小夜姫」とかの名は、「小夜の中山夜泣石」に基づいて語り継がれた後付けの話のような気がします。