2018年04月07日
道祖神のまねきにあひて③―「船明の兄妹地蔵」

二人には父も母もいなかったけれど、互いに助けあって、幸せにくらしていた。
やがて二人とも、お嫁さんを迎えたり、お婿さんを迎えたりする年ごろになった。
けれども、なかなか良い相手がみつからない。
「そうだわ。兄さん。これから旅に出て、お互いに良い相手をみつけましょう。」
「うん、それがいい。それでは、お前はここから東へ・・・・・・。」
「兄さんは、西に・・・・・・。」
「三年過ぎたら、またこの村にもどって、今度こそ兄妹四人、仲良く幸せにくらそう。」
「それまで兄さん、元気でね。」
「お前もだぞ。」
相談がまとまり、妹は東へ、兄は西へ、それぞれ旅立って行った。
二人は三年の間、諸国を遍歴した。
けれども、妹は兄のようなやさしいお婿さんを、兄は妹のようなかわいらしいお婿さんを、とうとう見つけることができなかった。
二人はとぼとぼと、船明の我が家へ帰った来た。
「やっぱり、兄さんみたいにやさしくて素敵なお婿さんは、日本中にいないわ。」
「お前のようにかわいらしいお嫁さんは、世界中にいるものか。」
とうとう二人は、夫婦のようなくらしを始めてしまった。
旅で見たおもしろい話や、珍しい話をしあって、初めは楽しくくらしていた二人であったが、次第に罪の重さを感じるようになった。
「どうしよう。このままでは、とても生きてはいけない。神さま許して下さい。」
二人は悩み、とうとう手と手をしっかり握り合って、天竜川に身を投げてしまった。
村人たちは、そんな二人をあわれんで、男女二体のお地蔵さまを刻み、行者山におまつりした。
兄妹の冥福を祈って建てられたこのお地蔵さまは『船明の兄妹地蔵』、または、“行者山の道祖神”と呼ばれ、縁むずびの神として広く知られている。
なお、地元では“夫婦地蔵”とも呼び、現在は船明の長養寺(ちょうようじ)境内に、安置されている。(「ふるさとものがたり天竜・第3章光明地区」より)
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男性が盃、女性が瓢を持つ典型的な「双体道祖神」。ここでも水窪と同じような近親結婚の逸話が伝えられています。
現在は長養寺の観音堂内に遷座されてはいますが、元々は、秋葉道の峠に祀られていたとのことで、一部欠損はしていますが、「天保十四卯九月立 是ヨリ秋葉山三里半」と刻まれていたようです。
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