2019年02月19日
「さくま郷土遺産保存館」で学んだこと⑭―木材を囲んだ綱

その後も、天竜川の木材の運搬には、筏(いかだ)の他に、この流して運ぶ方法も使われていたようです。「さくま郷土遺産保存館」には、そんな「綱場」の写真と「アカボウ」と呼ばれた太い綱が展示してありました。写真の綱がそれですが、この綱で流れてきた木材を寄せ集め、再び流れ出さないように浮きを付けて囲んだものだそうです。
さて、この綱、どれほどの重さがあると思いますか?
この綱は、藤の繊維を縒り合わせて作られているのだそうです。私も持って重さを確かめさせてもらいました。何とビックリ!とても軽いのです。現代では、ナイロンやポリエステル素材で作られるロープ。きっと、マニラ麻や木綿のロープを想像された人もいらっしゃるでしょう。それより、ずっと軽いので、実際に手に取られた人は驚かれると思います。
ドンブラコ♪と流れた「大きな桃」が水運の初めなら、木材を流す運搬だってかなり原始的な水運です。しかし、時間の流れと先人の工夫が、こんなに軽い魔法の綱を作り上げていたのです。ぜひ、手にとってその軽さを確かめてみていただきたかったのですが・・・。
現代の基礎を築いたのは、先人の創意と努力に因るところが大きかったのです。