2019年12月25日
待望の橋、佐久間に光 原田橋2月開通

浜松市天竜区佐久間町で建設中の新しい原田橋の開通が、来年2月29日に決まった。2015年1月の旧原田橋崩落事故から五年。交通の不便を強いられ、首を長くして待っていた住民から喜びの声が聞かれた。事故で命を落とした市職員の家族も、安堵(あんど)した。
天竜区協議会委員で佐久間町浦川に住む内山豊さん(72)は「地域にとって待ちに待っていた」と話す。糖尿病を患い、天竜川の対岸にある町内の佐久間病院に定期的に通う。大雨などで仮設道路が通れないとき、便数が少ないJR飯田線を利用してきた。対岸に病院や佐久間協働センターなど主要な施設があるため、浦川地区の住民はとりわけ不便を感じてきた。
内山さんは建設地点の選定までに時間がかかったことや、事故で市職員が犠牲になったことを悔やみつつ「5年がかかってしまったが、これで交通に支障がなくなる」と語った。
佐久間町では過疎化による人口減少に加え、交通の不便から子育て世代の流出や商店の廃業が進んだ。
同区観光協会佐久間支部の邑瀬(むらせ)三男さん(68)は「本当にやっとだなと思う。この『やっと』は重たい。長かった」と実感を込めた。
観光イベントのたびに大雨や上流の佐久間ダムの放流で通行止めにならないか気掛かりで、PRに力を入れることも難しかった。通行止めの時は同じ町内でも協会関係者が会合に集まれないことも。三遠南信自動車道の一部で、佐久間町と愛知県東栄町を結ぶ佐久間道路が今春に開通したことも踏まえ「これを明るい材料にしたい」という。
事故で亡くなった市職員の一人、安野彰恭さん=当時(57)=の妻実紀江さん(54)=天竜区=は「そろそろと思っていたので、良かった。ほっとした」と穏やかな口調で話した。区内の幹線道路を車で走行中、原田橋の通行止め情報が目に入るときは「大変だな」と気になっていたという。
事故の前から、崩落した橋に近い地点では、現在と別の新橋の再建が進んでいたが、事故の原因になった土砂崩れで損壊した。あまり仕事の話をしない安野さんが生前に「地元の人から、(新橋が)いつできるのかとせかされる」と話していたと思い返し、「仏壇で開通の日を報告します」と語った。(「中日新聞」より
「原田橋」の開通の日程が、ようやく決まりました。これで、佐久間で暮らす人たちの不安が一つ取り除かれたことになります。佐久間には立ち寄ってほしい名所がいっぱい。来年3月からは、観光に訪れる人も増えてほしいと心から願っています。