
気まぐれな私は、最初の橋を過ぎた辺りで登山道を外れ、旧道と思われる道に足を踏み入れました。この先に、何があるか分からないままのウォーキンには多少の不安もありましたが、ワクワクする高揚感が勝り、杉落ち葉に足を滑らせながら先へ先へ、上へ上へと歩みを進めました。

周辺の山は「間伐展示林」「静岡県立天竜林業高等学校山香演習林」ではあるのですが、最近間伐された様子はありません。足元には滑りやすい落ち葉だけでなく、足をひっかける大小の枝も。何度も尻もちを搗き、何度も転びながら、ふと杉の樹間を見ると、幾重かの石積みが。

下山後、大井橋そばの「緑屋=ろくさ」で聞いたところによると、「私たちが以前暮らしていた集落の跡だよ」とのこと。「あそこも、平和なの?」「そう。小屋があったら?」と聞かれましたが、私が見たところには「へっつい(竈)」が残っている程度。

「一番高いところに、茶ばらもあったら?」と言われた茶園は確かに残り、茶の木は人の背丈よりも高くなっていました。もしかしたら、この茶の木は「やぶきた」以前の品種だったのかも知れません。

「みんなは広い道を回って登ったけど、私らは近道だったんで沢沿いに真っ直ぐに登ったもんだ」とも言っていましたが、今では道らしい道はなく、傾斜もかなり急。「あれ、上にも広い道があるだに」と、先に聞いてから行けば良かったのですが・・・。

そうとは知らず、登った斜面を滑り落ちるようにして下りました。