2017年06月04日

あくら自然観察の道②―ハンミョウとサワガニ

ハンミョウ 私が勝手に名付けた「あくら自然観察の道」の案内は、お馴染みのハンミョウにお願いすることにします。

 ハンミョウの別名は「道教え」。特に頼んだわけではないのですが、どこからともなく派手な翅を見せびらかすように飛んで来て、前に前にと身軽に跳び、ボランティアの道案内。断る理由もありませんので、お任せすることにします。

 次に現れたのは、昔話『さるかに合戦』の主役、サワガニです。

サワガニ カニがおにぎりを持って歩いていると、ずる賢い猿がそこらで拾った柿の種と交換しようと言ってきました。カニは最初は嫌がったのですが、「種を植えれば成長して柿がたくさんなってずっと得する」と猿が言葉巧みに言ったので、カニはおにぎりとその柿の種とを交換してしまいました。

 カニはさっそく家に帰って「♪早く芽をだせ柿の種♪出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」と歌いながらその種を蒔くとたちまち成長して柿がたくさんなりました。

 そこへ、あの猿がやって来て柿が取れないカニの代わりに「自分が取ってあげよう」と木に登りましたが、ずる賢い猿は自分が食べるだけでカニには全然あげません。カニが「早くくれ!」と頼むと、猿は青くて硬い柿の実をカニに投げつけ、カニはそのショックで死んでしまいました。


 あとは、栗と臼と蜂が味方しての仇討ち話。海に棲むカニでは、この昔話の主役にはなれません。

 海で産卵するカニはの孵化した卵は、浮遊幼生(ゾエア、メガロパ)という親とは全く異なった姿となり、海に漂って暮らします。したがって、海に棲むカニが顔も知らない親ガニの仇を討つなんて不可能。コレに対して、サワガニは、唯一カニの姿で孵化し、親や兄弟としばらく一緒に暮らします。要するに、親の仇を討てるのはサワガニしかいません。

 これが、『さるかに合戦』の主役がサワガニ説の根拠です。



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