冬の八丁坂を登る⑬―明光寺
明光寺峠に登ったら、名前の由来となる明光寺を訪ねないわけにはいきません。
その理由の1つ目は、明光寺裏にある「じん肺物故者慰霊碑」に手を合わせること。「じん肺」とは、鉱山やトンネル掘削作業で発生する粉塵を吸い込み続けることによって発症する肺の病気。久根鉱山の掘削に従事し、「じん肺」で命を落とした人も多く、「遠州じん肺訴訟」は昭和53年(1978)に開始され、11年後の平成元年(1989)2月10日、ようやく東京高裁において和解が成立。
10年を超す長い法廷闘争の末の「勝利的和解」。原告団、弁護団、久根支部自治会連名の慰霊碑です。
久根鉱山で働いていた鉱員は、日本人だけにとどまらず朝鮮人たちも。特に、徴兵により日本人の鉱員が減少してからは、朝鮮人が増えたと聞いています。
そんな朝鮮人の中にも「じん肺」を病んだ人がいたのかも知れません。さらに言えば、「じん肺」だけにとどまらず、坑道の落盤事故などで亡くなり、訴訟すら起こせなかった人がたくさんいたことも忘れてはいけません。
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