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2018年09月18日

久根鉱山について考える④―「じん肺物故者慰霊碑」

「じん肺物故者慰霊碑」 以前「八丁坂を登る⑬」で紹介したように久根鉱山の近く、山香にある山明光寺境内裏には、「じん肺物故者慰霊碑」が建てられています。

 「じん肺」とは、鉱山やトンネル掘削作業で発生する粉塵を多量に、長期間吸い込み続けることによって発症する病気。肺機能を損ない「肺がん」などを発症する場合も多いようです。ただし、発症までに時間がかかる場合もあり、「久根鉱山」のケースも、多くは閉山(昭和45年11月)、離職後の発症となったため、認定が難しかったのです。

 「久根鉱山」は、足尾鉱山の鉱害(公害)に学び、鉱害のない鉱山を目指してスタートしたはずだったのですが・・・。

 全国初の金属鉱山集団じん肺訴訟となった「遠州じん肺訴訟」は、昭和53年(1978)に開始され、平成元年(1989)2月10日、東京高裁において和解が成立。石碑では「すべての訴訟に勝利的和解を獲得した」と刻んでありました。何と、10年を超す長い法廷闘争の末の和解。原告団、弁護団、久根支部自治会連名の慰霊碑。

 比較的新しい歴史ですが、知らずに過ごして来てはいませんでしたか?明光寺からは、ヤマで栄えた西渡を流れる天竜川が見下ろせます。鉱害に倒れた人たちの魂は、今どんな思いで眺めているのでしょうか?二度と繰り返してはならない歴史です。

 【関連記事】久根鉱山について考える①―歴史の1ページ
 


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Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 05:35│Comments(0)歴史・産業遺産・寺社・文化財
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