2020年02月15日
憩いのそば処 高齢化、交通難…3月閉店 浜松・佐久間

伝承館は1990年、地域の民話や民謡、伝統芸能を次代に伝える拠点として、当時の佐久間町が町内に残っていた江戸時代の農家を移築し、整備した。やまびこ会は開館日(土日祝日)の昼、そばや「とじくり」と呼ばれる米、大豆、そば粉を使った郷土菓子を提供し、地域の粉食文化を伝えている。
会員によると、そば処の運営を続けるには施設の維持や老朽化した機械器具の更新に資金が必要になる。だが、2015年に同区佐久間町の国道473号「原田橋」が崩落、18年には天竜区龍山町で国道152号の土砂崩れが発生し、交通アクセスが一段と悪化したことで客足が遠のいた。
売り上げが原田橋崩落前の6割ほどに落ち込んだこともあったといい、厳しい経営環境を強いられている。人手不足も深刻で、主婦10人ほどの会員のうち、75歳を超えたメンバーの一部には体力面の衰えが見え始めた。
過疎が進む佐久間町域には昼食を取れる飲食店が数軒しかなく、そば処は行楽客にとって貴重な憩いの場として存在感を発揮してきた。天竜区観光協会佐久間支部の邑瀬三男事務局長(68)は「観光ツアーでも利用している。閉店は観光振興の面で痛い」と惜しむ。
やまびこ会の鎌倉亀代会長(69)は「閉店は心残り。そば打ちの技術を若い人たちにもっと伝えたかった。イベント出店などは続け、何とか食文化を継承したい」と話す。(2020年2月4日付「静岡新聞」より)
3月末までには、もう一度は訪れたいと思っています。