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2020年07月13日

長沢に残る言い伝え①―ふるさとものがたり天竜「咳取り岩」

咳取り岩 むかし阿多古の里、長沢の村に、八握(やつか)神社がおまつりされていた。
 八握神社は、実にありがたい氏神さまであったが、その境内には、じゃまっけな大岩がでーんと座っていた。あまりに大きいその岩は、村人から、
「この大岩め。何でこんな所に座ってござる。じゃまもんの、役たたずめ。」
 などといつも言われていた。が、ついにおすもうの関取りさんにたとえられて“関取り岩”と呼ばれるようになった。

 ところがある時、あわてもんの男が、この関取り岩に願かけをした。
「せきとり岩さま、どうかうちの坊主の咳を、取って下され。坊主がひどい咳で、コンコンと、苦しんでますだで、おねげえしますだ。」
と、手を合わせているところへ、やって来たのが八握神社の近くに住んでいる、おじいさん。おじいさんの家にも、咳の出る孫っ子がいた。
「なになに。これはたしか、おすもうの関取りさんだと思っていたが・・・・・・。まあ、いいわい。わしもひとつ、おがんで行こう。」
 二人は並んで、仲良く手を合わせた。
 ところでこの大岩には、石の精が宿っていた。石の精は村人の願いを、何とかかなえてあげようと考えた。

 さて次の日八握神社へ、昨日の男と、おじいさんがやって来た。
「せきとり岩さま、せきとり岩さま。うちの坊主の咳が、ゆうべっから、ぱったり出んようになりましただ。」
 二人は大喜びであった。
「よかったのう。ふんとによかったのう。」
「せきとり岩さま、あんたさんは、あらたかな神さまだったんじゃのう。知らねえこととは言いながら、今までの無礼のかずかず、お許し下され。」
 二人は並んで、何度も何度も手を合わせた。
 おすもうの関取り岩、と呼ばれていた大岩は、こうして正真正銘の、咳取りの神さまとなったのである。
 どんなにがんこな咳でも、願かけをすればたちどころに治してくれるという『咳取り岩』のおはなしは、人から人へと伝えられ、その大きな姿を、今なお、長沢八握神社境内あとに残し、多くの人々より崇拝されている。(「ふるさとものがたり天竜・第2章上阿多古地区」より)

     ◆       ◆       ◆       ◆

八握神社 浜松市天竜区長沢(阿多古川筋)の八握(やつか)神社を訪ねてみましたが、「咳取り岩」らしき岩は見当たりません。ところが、意外なところに「咳取り岩」があると教えていただきました。それは、長沢に入った辺りの県道9号のすぐ下。「少し降りればいいから、行ってみたら?」と言われ、すぐに教えられた場所に向かいました。

 車を余地に停め、歩いてみました。大きな岩なら、あちらにもこちらにも見当たるのですが、果たしてこの中から、「咳取り岩」を特定できるでしょうか?と思ったその時、ちょっと見下ろした目の先に、想像を絶する大きさの岩が!これだ!でかい!

 巨大な牛が膝を折って寝そべっているような形ですので、なかなか全体の大きさを捉えにくいのですが、この写真で分かるでしょうか?

咳取り岩 近づくと全体が入らないので、上から撮ったのですが、向こう側が隠れてしまいます。下から撮っても半分しか入りません。まあ、とにかく、長沢八握神社境内にあるはずの「咳取り岩」は、これ。今なら、新型コロナウイルス感染症根絶を祈りたいところです。

 誰かが動かせる大きさではありませんので、多分、昔から・・・。長月寺のご住職からの情報です。




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Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 05:39│Comments(0)出かけよう!北遠へ民話・言い伝え
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