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2018年12月08日

私が出会った力石②―磐田・増参寺の力石

力石と供養塔 磐田市の匂坂中(さぎさかなか)という所に、「増参寺」という古いお寺があります。このお寺の門前には、大きな石が一つおいてあります。村の人たちはこれを「力石(ちからいし)」と言っています。

 むかしのことでした。この増参寺の少し南に、あみだ沢という所があって、そこに小さな、あみだ堂がありました。お堂には、堂守が一人いて、近くの人たちはこの堂守を、「六部さま」と言っていました。六部さまは大へんな力もちでした。

 ところで、そのとなりの村の、匂坂新田の養明寺というお寺にも、これもまた、すばらしい力のある、元気な和尚さまが住んでおりました。二人は、出合うと、いつでも、「おい、角力(すもう)をやろう」と、角力をやって、力くらべをするのでありました。

 ある時二人は、「おい、どっちが力があるか、一つ本当のところをくらべて見ようや」「うん、やろう。また角力か」「いや、今度はあみだ堂の石を、天竜川川原で、向こう岸に投げ合って見よう」「なるほど」と、話し合って、あみだ堂にある大石を、天竜川川原に持って行きました。そして、広い川の両岸に分かれて、投げ合う事としました。

 まず初めに、和尚さまが東から西へ、次に六部さまが西から東に投げましたが、両方とも、川をこして向こう側に、ぽんととんで、ころころところがりました。

 「やはり、同じだな」二人は、笑っていました。

 それを見た増参寺の和尚さんは、「ではその石を、わしにくれ」と、増参寺の前に運んで来ました。それがこの力石なのです。

 こうしたえんで、六部さまの死んだ後、六部さまの石碑は、増参寺にたてて、今ものこっております。(御手洗清著「静岡県西部のおもしろい伝説」「大石で力くらべ」より)

     ◆       ◆       ◆       ◆

力石 増参寺は曹洞宗のお寺。山門の外側に看板が立ち、その足元に力石がありました。看板によれば「力石と供養塔 明治初年阿弥陀堂廃堂の折移したもの」とのこと。

 増参寺の力石は、かなり大きな石。これを天竜川の向こう岸まで投げるなんて人間業ではありません。




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Posted by AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん at 04:32│Comments(0)歴史・産業遺産・寺社・文化財民話・言い伝え
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