
以前、二俣町大園の諏訪神社を訪ねた時のレポートです。
気づいたのは、入母屋造の社殿の三角形になった妻部の白壁とその上にある鬼瓦を飾る「剣花菱」紋。

諏訪神社の神紋は「梶の葉」。二俣諏訪神社でも3本立の「上諏訪梶の葉」紋が使われています。これに対し「剣花菱」紋と言えば、かつての「秋葉大権現」、秋葉寺や秋葉神社で使われていた紋。どうして、「梶の葉」でなく「剣花菱」が使われているのでしょう?

隣家にお邪魔し、「以前、近くに秋葉神社があり、諏訪神社に合祀された経緯はありませんか?」と聞いてみましたが、「いや、そんなことはない。昔から諏訪神社だった」との返事。大正10年(1921)発行の『静岡縣磐田郡誌』にも確かに「諏訪明神」と記載されています。
さて、ここからは推測です。

もしかしたら、この「剣花菱」紋は、社殿の火災を防ぐまじないとして、敢えて火防の神である秋葉山の神紋を掲げたのかも知れません。
考え過ぎかも知れませんが、諏訪神社に掲げるには違和感のある「剣花菱」紋には、人々の火災被害への怖れと並々ならぬ警戒心を感じました。
失われてしまった大園諏訪神社の思い出です。