2020年05月03日
3密を避け、桶ヶ谷沼&鶴ヶ池を歩く⑧―カクレミノ
譲ってくれと天狗は頼むが、彦一は譲らない。それならば隠れ蓑と交換してくれと天狗が言うと、彦一はすぐさま竹筒を手放し、素早く隠れ蓑を身に付けてしまった。一方、竹筒を覗いても何も見えず、騙されたと知った天狗は怒るが、既に彦一の姿は見えなかった。
彼はまず家に帰って妻を驚かせる。調子に乗った彦一は色々と悪戯を思いついては実行し、あげくの果てには酒屋に忍び込み、好物の酒をぐびぐびと呑んでしまうのだった。そして彼は酔っぱらい、家に帰るや熟睡してしまった。
その間に、妻が蓑をがらくたと勘違いして竈(かまど)で燃やしてしまう。目を覚ました彦一は蓑がないので妻に問いただし、「蓑は燃やした」と言われてびっくりするが時既に遅し。
しかし、試しに残った灰を体に付けてみたところ、ものの見事に姿を消すことが出来たので、彼は喜び、まだ呑み足りないのか再び酒屋に駆け付けた。
しかし、今度は酒を呑んだことによって、口の部分の灰が剥げてしまい、彦一の口だけが空中に浮いている形となった。それを見て「お化けだ!」と驚いた酒屋の主人に追い回され、最終的に彦一は川に落ちて灰が全部流れ、みっともない裸をさらしてみんなの笑い者になってしまったのだった。(彦一ばなし「天狗の隠れ蓑」より)
写真はウコギ科のカクレミノ。葉っぱの形が「隠れ蓑」に似ているからとのことですが、誰も見た人はいません。
若木の時には、葉が3~5裂。生長につれて葉の切れ込みが少なくなり、やがて丸い葉が多くなり、葉の形が千変万化。だから、「隠れ蓑」なんじゃあないの?