2018年02月03日

凍り付いた滝巡り④―稚児の滝

稚児の滝 むかし鏡山の光明寺に、大そう美男の稚児(社寺につかえる男の子)がいて、立派な僧となるために、日夜修業(修行)に励んでいた。
 稚児は大変賢くて、寺の住職からも、将来を期待されていたが、成長するにつれて、この世の煩悩(心身を悩ます、いっさいの欲望)に悩まされるようになった。
 稚児は一心に苦行に打ちこんだが、どうしても煩悩を断つことができなかった。

 するとある夜、稚児の夢まくらに不動尊が現れ、
「汝、煩悩を断ち切らんと欲するならば、我が泉に打たれて修業(修行)せよ。」
と、言って、大きな美しい滝つぼに消えていった。

 次の夜、稚児は不動尊の消えていった、大きな美しい滝をさがして、一人暗い山の中をさまよい歩いた。
 そして、やっと見つけた滝――。
 それはあの夢の中の滝と、そっくり同じであった。
 その夜から、稚児はこの滝に打たれて、修行に励んだ。

 それから五年――。
 今はすべての煩悩を断ち切り、宗教と文武の奥儀をきわめた稚児は、もはや立派な僧となって帰山した。

 竜川の里、佐久の部落の上流にあるこの滝は、『稚児の滝』と呼ばれ、村人は滝のそばに不動尊を建立して、現在でも年一回のおまつりを欠かさないという。(「ふるさとものがたり天竜・第3章光明地区」より)

   ◆       ◆       ◆       ◆

稚児の滝 旧天竜市佐久にある「稚児の滝」も「新・浜松の自然100選」の滝。飛び跳ねた飛沫がわずかに凍っている程度でした。



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