2019年01月14日
「懐山おくない」を観る⑥―「鬼の舞」と「駒の舞」

赤鬼は鉞、青鬼は大槌、黒鬼は金棒を後手に持っての登場。鬼は山の神を表しているのでしょうか?それぞれの採物を頭上で勇ましく振り回し、その後、後手に持ち替えて1回転。この動作を繰り返した後、お互いに打ち合うのは、仲たがいをしたのでしょう。


ここで言う「馬喰」とは、遠くから旅をして来た馬買いの商人のようです。「阿弥陀の前の名馬の駒、これはどうた コロコロコロ」と声を掛けますが、馬は答えません。「こちらではオロオロと呼びます」と列座から声が上がり、「阿弥陀の前の名馬の駒、これはどうだ、オロオロオロ」と言い直すと、馬は首を上げて答えます。

「角川日本地名大辞典22静岡県」によれば、懐山は「明治24年の戸数63・人口385・厩37」。馬の飼育が盛んな土地柄でした。
丹精込めて育てた馬を、高値で買ってもらいたいとの願いを込めた問答。懐山の農家で育てた馬を手放す時の情景を表した舞のようです。