
さあ、いよいよ獅子の登場です。残念ながら「お仕舞い」までは見ずに帰った私が見たのは獅子舞「宵の獅子」。懐山では「フツトリ」と呼ばれる「まねき」に従い、獅子が登場します。「フツトリ」は右手で「八浄」と呼ばれる半紙を八つ折にしたものを振りながら、獅子を誘います。

太鼓、鈴、銅拍子の楽に合わせて獅子が五方を舞い、やがて背を丸めて伏せてしまいました。「フツトリ」は獅子の蝿を追い、獅子を飛び越え馬乗りになるのですが、最後には獅子にふるい落とされます。

ここで、一旦止まっていた楽が復活し、獅子は退場し、「宵の獅子」の終了です。

山里の畑を守る田楽には、「猿追い」が欠かせません。頭に巻いた鉢巻の左側に猿の面を付け、3人の舞人が左右の肘を交互に折るような動作をしながら「ホイホイホイ」と登場しました。三匹の猿は互いにノミを取り合うような動作をし、「ホイホイホイ」と五方を舞い戻し、「ホイホイホイ」と退場。その時、「あっちへぼった」「こっちへぼった」との声が掛かりました。
「ぼう」とは、遠州の方言で「追払う」という意味。猿を退散させて、今年の五穀豊穣は間違いありません。

「年男」は猿面を盃に、杵を神酒に見立てて「サンバイ、サンバイ、サンバイ」と声を掛けながら酒を注ぐ動作を繰り返します。

「仏の舞」は、面を付けた2人の舞人が、肩を組みながら五方を拝んで回るのですが、目と口の周りが黒く塗られた仏面は不気味さを漂わせます。
演目の次第は前後しましたが、続いて「女郎の舞」が披露されるようです。