2018年11月11日

磐田と煙草⑫―「天狗莨」岩谷松平

「天狗煙草」の引き札 「磐田と煙草④」で紹介した「天狗煙草」の岩谷松平(いわやまつへい:1849-1920)について、もう少し詳しく紹介します。

 この「名古屋支店」の引き札も「見付たのしい文化展」の「明治時代のタバコパッケージ」展で展示したものですが、ここに書かれている内容こそ、明治30年代に「明治の煙草王」と世間を騒がせた岩谷の考えそのものです。

 引き札の枠外に書かれているのは「勿驚(おどろくなかれ)税金たつた三百万圓」「國益職工たつた二十万人」の文字。「サア/\天狗莨(たばこ)は世界中の大安名物日本帝國名譽の國産也」と国産煙草であることを謳い、ここまでやっていますが、まだまだ日本の国益にとっては不足。

「天狗煙草」の引き札 左端にズラリと並ぶ商標の中には「金天狗」「銀天狗」「大天狗」「中天狗」などに交じり、「日英仝盟天狗」や「輸入退治天狗」も見られ、課税なしの輸入煙草よりも国産の煙草を吸うことの方が、国益に適ってことをと訴えていたのです。

 「明治たばこ宣伝合戦」と称されるほどの激しい販売合戦は、明治37年(1904)の専売法施行により収束しましたが、明治以降の宣伝広告、印刷技術の発展に大きな影響を与えたのは言うまでもありません。

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