出かけよう!引佐町伊平⑥―酒屋と紙屋
銀行もあった伊平―山に囲まれた村に、一体どんな産業があったのでしょう?先ず考えられるのは林業ですが、稲作などの農業に適した地域とは思えません。
伊平の中心地であったのは「一部」と呼ばれていた地区。今では「一区」と呼ばれるようになったこの地区で、目立って大きな家は酒屋の山本邸と醤油醸造の紙屋。どちらも醸造業ですから、製造にも貯蔵にも広い敷地が必要です。そして、出荷の時に利用されたのは井伊谷川の水運。長屋門が残る油屋には艶のある赤レンガの蔵が立ち、敷地の北側にはレンガの煙突も残っています。
レンガの積み方は、長手積みと小口積みを交互にしたイギリス積み。艶のあるレンガは窯の中に塩を入れ高温で焼き上げられたものとのことで、古い時代のレンガとしては希少です。
酒屋には蔵が2棟。どちらも切妻の蔵ですが、人造石のように見える蔵は、入口や2階の窓にアーチが見られ、庇を支える持ち送りに洋風の装飾が施されています。
よく似た建築は西側にあるレンガ塀にも。もしかしたら、これらの建築を手がけたのは、旧伊平銀行を建てた大工と同じ人だったのかも知れません。一体どこの誰が造ったのか?気になります。
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