年の瀬の粟ヶ岳に登る⑫―阿波々の麗水
帰り道はハイキングコースではなく、車道を歩いて下りました。途中で見かけたコンクリートタンクには「阿波々の麗水」と刻まれたプレートが。山岳信仰の聖地とは言え、粟ヶ岳に水が湧かないことには、修験者たちが住みつくことはできません。
阿波々神社境内にある「無間の井戸」(右上の写真)の他、観音寺跡にも井戸跡(左の写真)らしい円筒が残っていましたので、山頂付近だけでなく、粟ヶ岳の中腹にも、水が湧く水源がたくさん見つかっていたことが想像されます。
「阿波々の麗水」もそんな水源の1つ。地域の住民たちによる簡易水道組合で管理していた水源だったようですが、新東名高速道路の金谷トンネルの掘削工事が始まった平成12年(2000)以来、水の湧出は途絶えてしまったとのこと。中日本高速道路株式会社が止水工事などを試みたのですが、湧水が戻ることはなかったとは、まさに今、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事によって発生が危惧されている水涸れと同じ問題です。
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