年の瀬の粟ヶ岳に登る⑨―磐座跡と地獄穴
粟ヶ岳ハイキングコースは茶園が広がる砂泥の斜面を歩いて登るのですが、山頂近くまで行くと、突然、割れ目が入った巨岩がそそり立っています。ここが磐座(いわくら)の跡であり、その割れ目は地獄穴と呼ばれています。
現在、山頂に祀られているのは神道の阿波々神社ですが、かつては無間山観音寺が併存する神仏習合の信仰の場。日本古来の山岳信仰と真言や天台などの密教や修験道などにおいては、山や石や岩などを依り代として信仰することがよくあります。
標高532メートルと比較的低い山であるにも関わらず「岳=嶽」と名付けられているのも、山岳信仰と結びつきます。地質について調べてみると、粟ヶ岳付近は「Mk 砂岩、泥岩及びシルト岩(礫岩及び凝灰質泥岩を伴う)」。
かつては、粟が栽培されていたという粟ヶ岳ですが、海底に砂泥が堆積して出来た岩石が、フィリピン海プレートの移動により隆起した適度な斜面は、酸性土壌を好む茶の栽培にとって理想的な環境だったようです。
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