出かけよう!引佐町伊平⑨―長興寺の天神天満宮
長興寺の境内を歩いてみると、大師堂があり、その上には薬師堂、さらに高い所に稲荷堂と鎮守堂が並んでいます。現在の長興寺は臨済宗方広寺派のお寺ですから、本尊は釈迦如来。薬師堂や稲荷堂は分かるのですが、大師堂には「弘法大師空海を祀る」と書かれた木札が見られのがちょっと不思議。空海は真言宗の開祖。なぜ、臨済宗の寺に祀られているのでしょうか?
さらに「?」なのは鎮守堂。鎮守堂の木札には「鎮守堂(天神天満宮)」と書かれ、さらに「菅原道真を祀る 元禄十年(一六九七)京都北野天満宮より勧請」とあります。お寺の境内に神社?
実は、今でこそ仏教と神道とは分かれていますが、それは明治時代の神仏分離令によるもの。それまでの日本固有の神道と外来宗教の仏教は融合調和され、神仏習合、あるいは神仏混淆として受け入れられていました。
そんな中では、お寺に付属した神社は「鎮守社」として祀られ、受け入れられて来ました。長興寺では「鎮守社」が「鎮守堂」と名前が変えられていましたが、伊平に残るひと昔前の信仰の形。
黄檗宗の山宝林寺住職であった法源禅師作の和讃が建てられ、真言宗の弘法大師空海が祀られているのは、長興寺が臨済宗方広寺派となる前の宗派に縛られない時代を反映しているのでしょうか?
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