楽しかった第2回「いじゃまいかけつか・春」④―旧津倉家見学会
そして、今回も200人近い人が集まり好評をいただいたのが旧回船問屋・津倉家住宅の見学会。廻船業を営みながら、北遠の山を持ち、製材業も手掛けていた津倉家の家には、これ以上はない良材がふんだんに使われ、宮大工としてその名を馳せた曽布川藤次郎が棟梁となり建築した掛塚の繁栄を象徴する住宅です。
座敷には磐田市指定文化財の福田半香(ふくだはんこう)と平井顕斎(ひらいけんさい)が描いた襖絵が残され、その他にも「掛塚まつり」の豪華な屋台にもつながる木材の良さを生かした木挽きや建具屋などの技の粋を見ていただけたと思います。
そして、今回初めて行われたのは、伊豆石の蔵などを使った磐田市歴史文書館の史料展示。船箪笥や木挽用鋸、「潤徳丸」の船名額などのほか、明治時代の掛塚のジオラマや津倉家の所有船「袖ヶ浦丸」の模型も展示され、掛塚湊の繁栄ぶりを分かりやすく紹介しました。
天竜川の豊かな水と自然な流れがなければ、南信や北遠の大量な木材は掛塚に届けられることはできず、当然ですが江戸へと運ばれることもなく、江戸の庶民たちの家を建てる材料に使われることもありませんでした。そう考えてみれば、掛塚湊だけでなく上流地域が林業で栄えたのも、天竜川を流す流送があったればこそ。
そんな歴史を一人でも多くの人に知っていただくため、今後も旧津倉家を活用して行きたいと考えています。
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