木曽路・奈良井宿を歩く㉒―蠶魂大神
鎮神社の入口に建てられた石碑に彫られた文字は「蠶魂(こだま)大神」。「蠶」は「蚕」の旧字。実は、木曽駒ヶ岳を訪れた日に立ち寄った駒ヶ根の光前寺でも「蠶魂養神」の碑を見ていましたが、「蠶魂大神」も「蠶魂養神」も、養蚕が盛んだった地域で祀られている養蚕の守護神です。
野蚕を家畜化したのは中国とされ、養蚕は農業などと同じように中国伝来と思われますが、カイコは「古事記」や「日本書紀」、日本の神話にもすでに登場。神の体から蚕が生じたと「蚕の起源」についての記述があります。
つまり、穀物や野菜などと同じように、自らは家畜化することによって、私たちに貴重な絹糸をもたらして来たカイコへの感謝の気持ちを表し、養蚕業の隆盛を願う気持ちの表れが「蠶魂大神」「蠶魂養神」の文字碑だと思われます。
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