大久保家と淡海国玉神社⑤―捻じれた五葉松
平成26年(2015)磐田市歴史文書館で開催された企画展「遠州報国隊と近代の日本~激動期を生きた神官と幕臣~」で展示されていた大久保家文書の中に、「見付町役場」に宛てた「旅団長ノ旅館等ノ件依頼」の葉書がありました。
「旅団」とは、当時の近衛第一師団のことで、旅団長とは久邇宮邦彦王(くにのみやくによしおう)。大正5年3月1日午後5時の列車で中泉駅に到着し、演習を行う間、磐田で宿泊できる場所を確保してほしいとの依頼状。
そして、その回答に対する返信「殿下旅館等ノ件回答」には「大久保氏邸宅ニテ宜敷候」とあり、久邇宮邦彦王は大久保家の離れに宿泊することが決まりました。
大久保家の門をくぐると、1本の五葉松が植えられています。この五葉松は、久邇宮邦彦王宿泊の時に植えられたものとのこと。縁起の好い「松」の種類で、「五葉」が「皇族の御用」にもつながるのが五葉松。しかも、幹に激しい捻じれがある「蟠幹(ばんかん)」と呼ばれる樹形。まるで、盆栽のような仕立てです。
この五葉松が、大久保家に皇族が宿泊した記念樹。そして、忠利宛てには、4月12日付の礼状が届いています。
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