造船の町、伊勢市大湊へ⑭―「籾種石」と「三波石」
おおぜいの参拝客が行き交う伊勢神宮内宮境内の石積みの角に、大きな岩があるのに気づきました。この岩は、天明年間(1781-89)の神宮造営の時、折も折、発生した「天明の大飢饉」の最中、籾種まで食べ尽くしてしまう苦労の末、地元の人々が献納した神岩とのこと。その形が米粒に似ているため「籾種石(もみだねいし)」と呼ばれているのだそうです。
そして、もう1つ気になった石は、正宮へアクセスする石段の青緑色の石。調べてみると、この青緑色の石は、白い石英が波打つような模様を描いているのが特徴で、中央構造線外帯「三波川変成帯」の名の由来となった群馬県鬼石町神流川上流の三波川付近から産出されるところから、「三波石(山波石・さんばせき)」とも呼ばれるの結晶片岩の一種だということが分かりました。
「籾種石」と「三波石」―伊勢神宮の石にも、それぞれ興味深い歴史があるようです。
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