浜北区上島・新田組の「龍燈」②―宮大工・渥美長吉
前回紹介した解説看板には「新田組の龍燈鞘堂は明治三十年頃この地の大工棟梁渥美著吉とその弟子の作といわれ」と書かれ、軒下を見上げれば、斗(ます)と肘木(ひじき)とわ組み合わせ、重い屋根を力を分散して支える複雑な組物が見られ、おそらく釘は使われていないのだろうと思われます。
軒を支える二重の平行垂木はやや扇状に広がり、四方に飛び出す形の尾垂木には見る者を意識した美しい反りが施されています。
渥美長吉については、号として藤原泰根を名乗り、浜北区尾野の金刀比羅神社、同区中瀬の普賢院鐘楼を建てた宮大工でもあるということ以上には分かりませんが、おそらく他の寺社や祭り屋台の建築にも携わっていたものと推察されます。
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