牧之原市・石雲院を訪ねる③―本堂の「龍門の滝」
山門の彫刻を見上げたら、見逃してはいけないのは堂々たる唐破風の本堂。懸魚に刻まれているのは翼竜です。
本堂玄関の左右の袖にある「龍門の滝」の彫刻も、石雲院の山号「龍門山」に由来するもの。下絵を描いたのは平井顕斎(1802-1856)とのこと。
平井顕斎は地元・遠江国榛原郡青池村谷之口(現在の牧之原市)生まれ、崋山門十哲の一人に数えられる南画家です。
本堂が再建されたのは天保14年(1843)でしたので、まさに平井顕斎の絶頂期。掛塚の旧廻船問屋・津倉家には平井顕斎が描いた襖絵が残されていますので、「みんなと倶楽部 ⚓ 掛塚」会員の私にはお馴染みの画家です。
牧之原市の公式HPの「石雲院」の項には「左側は『立川庵雪曲』の印形がみえます。右側には『顕斎図 立川庵彫□』の印があります。」と書かれていますが、果たしてこれがいわゆる諏訪立川流の彫師によるものかは不明・・・。むしろ、山門の精緻な彫刻の方が立川流のように見られました。
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