菊川・黒田家代官屋敷を訪ねる⑥―東蔵と西蔵
黒田代官屋敷の北側には、東蔵と西蔵と呼ばれている2棟の蔵が。ともに漆喰壁の中段に水切瓦を配していますが、西蔵は下見板張りの腰壁がグルリと取り囲んでいます。
腰壁には、土蔵ではお馴染み、L字型の折れ釘が突き出しています。壁の塗り替えや屋根の補修をする時の足場、火災発生時には火消しが屋根に上がる足掛かりにされたという折れ釘ですが、西蔵の折れ釘には短い角材が噛まされ、角材を外せば腰壁が取り外せるよう、腰壁に折れ釘に合わせた窓状の穴が開けられています。
本来火災に強い漆喰壁の土蔵ですが、おしゃれに飾る腰壁には火が燃え移る可能性が。その危険を避けるため、近くで火災が発生した場合には、速やかに腰壁を外し、類焼を防ぐための工夫が、この折れ釘の秘密のようです。
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