修禅寺&三嶋大社へ日帰りドライブ⑭―宮彫師・小澤半兵衛
注目すべき神門は、社殿に負けず総欅素木唐破風造。見上げれば蟇股には手の込んだ彫刻が施されていました。
これらの彫刻をしたのは、伊豆の名工・小澤半兵衛一派。実は、この小澤一派の流れを組む宮大工・宮彫師には諏訪立川流も含まれているのです。
掛塚の祭り屋台にも彫刻を残している立川流ですが、江戸で修業をした和四郎富棟は、一旦は諏訪に戻るのですが、そこは大隈流の全盛期。再び江戸に出て宮彫師中沢五兵衛に師事し、小澤五右衛門の門人となったことも分かっています。
この小澤流の流れを引いたのが、小澤半兵衛・希道の父子。三嶋大社の御殿・舞殿にも、同じ小澤父子が腕を振るった精緻な彫刻が残されています。
神門の正面に見ることができる彫刻は、久能山東照宮で見たのと同じ図柄の「司馬温公の甕割り」。あちらは彩色されていましたが、こちらは素木。
話は、中国北宋時代の儒学者であった司馬温公(司馬光)がまだ7歳の時こと。一緒に遊んでいた友だちが誤って水を一杯張った高価な甕に落ちてしまいます。このままでは友だちが溺れ死んでしまうと思った温公は機転を利かし、水甕を割ることによって友人を助けることができたという話。いくら高価で貴重な甕であっても、人の命の方が尊いという教訓話です。
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