旧田代家住宅の2階は客間だったようですが、階段側に面した箇所に嵌められた障子枠の上部には、透かし彫りが施されています。透かし彫りの絵柄のテーマは、各部屋共通で「竹に雀」。ただし、「竹に雀」のテーマは同じでも、図案はすべて違っています。
1階の座敷の彫刻欄間は「松に鷹」でしたが、「竹に雀」も取り合わせが好いとされ、縁起を担いだ絵柄です。
そして、障子の腰板には、「玉杢」と呼ばれる渦巻くような木目が浮き出ています。これらは、建具を作った職人のこだわり。それを愛でる依頼者があればこそ発揮できる造型の技の粋であると思います。