奥山方広寺の総門「黒門」は高麗門と呼ばれている形式。開いた扉が濡れないよう、左右に扉を納める小さな屋根が設けられています。
これまでに紹介した高麗門と言えば、三ヶ日の摩訶耶寺と鷲津の本興寺の門。寺の門は外開きで、城の門は内開きとはよく聞く話ですが、摩訶耶寺の門も実相寺の門も本興寺の門も、城門を移築したものとのことで内開きでした。
では、方広寺の黒門はどうでしょう?
実は、黒門に扉はありません。しかし、小屋根があるのは門の内側。古い絵葉書「(奥山方廣寺)半僧坊黒門」で見ても、門の形は同じ。門扉のない高麗門は、決して珍しい例ではありません。