以前から気になっていた浜松市北区引佐町的場にある鈴木家住宅を訪問。鈴木家住宅は国指定重要文化財です。
別棟として建てられた母屋(住居)と釜屋(かまどや物置)はともに茅葺き屋根の寄棟造ですが、2棟の向きは90度角度が違っています。その2棟の屋根を重ね合わせるようにして雨樋を設け、一体的空間として利用できるようにしたこのような建築を「分棟型釜屋建」と呼ぶのだそうです。
「分棟型釜屋建」の民家は、「天竜川流域から浜名湖北岸、東三河地方に分布していた」(解説看板)とのことですが、これまでに見たことがなかったのは現存する建物が他になかったから。
現在の建物は修理工事がされ、建築当時の姿に回復されたもの。工事に伴う調査により釜屋の柱ほぞに記された「文政三辛巳年」の文字が見つかったとのことですが、文政3年(1820)の干支は「庚辰」で「辛巳」は翌年。解説看板に「一八二一年に建築」とされているのは、そのためと思われます。