菊川・黒田家代官屋敷を訪ねる⑦―亀甲竹の結界と曲がり梁丸太
黒田代官屋敷の母屋の式台玄関には、亀甲竹の結界が置かれています。ここで言う結界とは、立ち入り禁止を示すもので、茶室に置かれる風炉先屏風や衝立なども結界です。
つまり、玄関から断りなしに入らないでください、という柵のようなものですが、無粋な綱張りなどではなく、縁起の好い亀の甲羅を連想させる「亀甲竹」を利用しているところが、黒田家主人の粋な計らいと言えます。
長屋門横の米蔵の軒梁には、曲がり丸太が使われています。反りを生かして軒先を支える強度を増しながら、自然な趣を損なわないのが曲がり丸太の良さですが、1本1本が同じ形ではありませんので、大工の腕の見せ所となります。
米蔵が建てられたのは明治20年(1887)頃と考えられるとのこと。安政の大地震(1885)後に建てられた母屋と同じく、地震対策を施した建築です。
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