佐久間・大滝を歩く③―馬乗り馬頭観音
歩き始めて約10分。杉木立の下に、「天照皇太神宮」を中心に「秋葉大權現」「金毘羅大權現」と刻まれた石が見えて来ました。その奥には、薄く割れる緑色片岩を積み上げた石室の中に役行者像が。馬乗り馬頭観音があるのは、その前です。
役行者と馬頭観音との関係には、こんな話が残っています。役行者が開山したと伝えられる信州三大修験霊場の一つ小菅神社、かつての修験寺院小菅山元隆寺に祀られていた小菅権現の本地仏は、摩多羅神であり馬頭観音でもあるのです。
大滝の馬頭観音が役行者の石室の前、左右2基が守護仏のように建てられているところを見ると、この道が確かに信濃とつながり、北遠では珍しい馬乗り馬頭観音も信濃からの移入なのかも知れません。
2基の馬頭観音像は舟形光背の浮彫立像。それにしても、手前側への大きな反りは、滅多に見られないほどの美しさです。
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