諏訪大社を訪ねて⑰―諏訪立川流の装飾彫刻
諏訪郡下諏訪町武居の諏訪大社下社秋宮(あきみや)の社殿は神楽殿の奥。豪華な二重楼門造りの拝殿が目を引きます。
この建物は安永10年(1781)、立川和四郎初代冨棟の作。となれば、これでもかと飾られた彫刻の数々も、立川和四郎冨棟の作と考えられます。
欄間には三爪の雲龍や唐獅子牡丹、木鼻には獅子や象が刻まれ、斗栱と垂木とをつなぐ手挟みにまで幾重にも絡まる波頭を刻んでいます。目は青く見えますので、かつては彩色を施してあったのかも知れません。
宮大工とは言え、所詮は職人。仏像を彫る仏師とは違い、芸術家ではありません。諏訪に生まれた和四郎は、宮大工の修業のため江戸の立川小兵衛富房に弟子入り。その才能を認められ、立川和四郎冨棟を名乗りましたが、江戸立川流棟梁への誘いを断り帰郷。
諏訪では全盛を極めていた大隅流と競い合う中で、再び上京し彫刻の腕を磨くことに。新たに起こしたのが諏訪立川流。それにしても、どうしたらこんな壮大な作品が出来るのでしょう?
また、左右の片拝殿の柱は、上から下へと緩やかに膨らむ徳利柱。ギリシャ神殿のエンタシス様式の柱にも似ています。
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