諏訪大社を訪ねて⑪―諏訪大社上社本宮の高野槙

AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん

2018年09月17日 05:04

 諏訪市中洲宮山の諏訪大社上社本宮(ほんみや)の勅願殿前に、高野槙(コウヤマキ)の大樹があります。

 悠仁親王の御印に選ばれて以来、コウヤマキを見かけることは少なくありません。しかし、福島県から九州までの山地では自生しているとのことですが、私たちの周りでは寺社や公園などで見かける程度。巨樹となると、あまり心当たりがありません。

 コウヤマキの分布は、日本の他には韓国済州島だけ。「紀伊 山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されている高野山に多く自生し、弘法大師開創の高野山金剛峯寺では霊木として大切にされて来ました。

 昔、「槙」と言えばコウヤマキのことを指し、「木+真」の字が当てられているのは神聖な木の意味。樹木の乱伐が続いた江戸時代、尾張藩により決められた木曽谷の山の「木曽五木」には、ヒノキ、サワラ、ネズコ、アスナロとともにコウヤマキも指定され、伐採が禁止されました。

 コウヤマキは素戔嗚尊(すさのおのみこと)が「棺材として使え」と言ったと伝えられ、古墳から出土する木棺は耐水性と耐腐朽性に優れたコウヤマキで作られているとのこと。また、素戔嗚尊は木や森林の重要さに気づき、髭からスギ、胸毛からヒノキ、眉毛からクスノキ、尻毛からコウヤマキを生み出したとも伝えられています。

 諏訪大社の祭神、建御名方神 (たけみなかたのかみ)は、素戔嗚尊と同じ出雲系。何だかんだと書いてはみましたが、とにかく本宮にはコウヤマキがありました、ということです。

 【関連記事】諏訪大社を訪ねて①―二社四宮
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて②―自然に囲まれた諏訪大社上社前宮
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて③―御室社のミシャグジ神
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて④―梶の葉紋とカジノキの葉
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑤―上社前宮は北入り、北面
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑥―御柱
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑦―御柱祭の木落し
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑧―上社本宮には龍が棲む
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑨―重要文化財は改修工事中
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑩―上社本宮に見る立川流の「稲穂に鶉」
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑫―富國館製絲場奉納の玉垣
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑬―雷電為右ヱ門の像と土俵
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑭―入口御門の彫刻欄間
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑮―神馬舎と絵馬
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑯―諏訪大社下社秋宮
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑰―諏訪立川流の装飾彫刻
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑱―諏訪大社の中にある秋葉信仰
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑲―天覧の白松
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて⑳―遷座祭と本陣
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて㉑―大隅流で建てられた春宮幣拝殿
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて㉒―春宮にある子安社
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて㉓―下馬橋
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて㉔―万治の石仏
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて㉕―双体道祖神と力石
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて㉖―龍神が棲む諏訪湖
 【関連記事】諏訪大社を訪ねて㉗―湖畔公園の足湯と輝石安山岩

関連記事