諏訪大社を訪ねて⑪―諏訪大社上社本宮の高野槙
諏訪市中洲宮山の諏訪大社上社本宮(ほんみや)の勅願殿前に、高野槙(コウヤマキ)の大樹があります。
悠仁親王の御印に選ばれて以来、コウヤマキを見かけることは少なくありません。しかし、福島県から九州までの山地では自生しているとのことですが、私たちの周りでは寺社や公園などで見かける程度。巨樹となると、あまり心当たりがありません。
コウヤマキの分布は、日本の他には韓国済州島だけ。「紀伊 山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されている高野山に多く自生し、弘法大師開創の高野山金剛峯寺では霊木として大切にされて来ました。
昔、「槙」と言えばコウヤマキのことを指し、「木+真」の字が当てられているのは神聖な木の意味。樹木の乱伐が続いた江戸時代、尾張藩により決められた木曽谷の山の「木曽五木」には、ヒノキ、サワラ、ネズコ、アスナロとともにコウヤマキも指定され、伐採が禁止されました。
コウヤマキは素戔嗚尊(すさのおのみこと)が「棺材として使え」と言ったと伝えられ、古墳から出土する木棺は耐水性と耐腐朽性に優れたコウヤマキで作られているとのこと。また、素戔嗚尊は木や森林の重要さに気づき、髭からスギ、胸毛からヒノキ、眉毛からクスノキ、尻毛からコウヤマキを生み出したとも伝えられています。
諏訪大社の祭神、建御名方神 (たけみなかたのかみ)は、素戔嗚尊と同じ出雲系。何だかんだと書いてはみましたが、とにかく本宮にはコウヤマキがありました、ということです。
関連記事