諏訪大社を訪ねて④―梶の葉紋とカジノキの葉
諏訪大社の神紋は「梶の葉紋」。「梶の葉紋」の中でも諏訪大社のものは、「根梶」とか「根あり梶」と呼ばれ、梶の葉だけではなく、梶の木3本と大地に根ざす根が生えたもの。そして、その根が上社は4本の「諏訪梶」、下社では5本の「明神梶」。
諏訪大社上社前宮
諏訪大社上社本宮
諏訪大社下社秋宮
諏訪大社下社春宮
上社と下社で根の数が違うのは、同じ諏訪大社でありながら、かつては別々の神社だった頃の名残りです。
今回の諏訪大社参拝のたくさんある目的の1つは、「梶の葉紋」の基となったカジノキの確認。上社前宮(まえみや)には、カジノキの若木が2本。カジノキの葉には変異はありますが、若木の葉には神紋の姿よりもさらに複雑な切れ込みが見られます。本宮(ほんみや)のカジノキは訳あって幹を伐られ、外からは見えないように囲われています。
諏訪郡下諏訪町武居の下社秋宮(あきみや)では数本の成木が見られ、その1本には同じクワ科のコウゾに似た雄花が咲いていました。
実はカジノキはコウゾなどとともに、樹皮の繊維は布や紙の原料にされた木。また、江戸時代以前、七夕には笹に短冊ではなくカジノキの葉に和歌などを書いて飾ったのだそうです。
カジノキは役に立つ木であり、神聖な木。諏訪大社の「梶の葉紋」には、そんな自然からの贈り物に感謝する気持ちが現れているような気がしました。
関連記事