遠州横須賀の町歩き⑨―三熊野神社本殿
「
諏訪立川流が好んだ『粟穂に鶉』③」で紹介した通り、三熊野神社本殿を建てたのは、諏訪立川流2代目、立川和四郎冨昌の娘婿、立川昌敬(まさよし)。諏訪から出て、東海地方に住みながら寺社や祭り屋台を建立し、特に宮彫りと呼ばれる建築彫刻に長けていましたので、本殿にもその俤が見られるはずです。
ところが、本殿は背の高い囲い塀の中。外から中を覗くのには、格子の間にカメラを入れるしかありません。運を天に任せて、カシャ!カシャ!とシャッターを切ってみました。
すると、千木・鰹木が乗った屋根の下を飾る、こんな彫刻が撮れました。
どうでしょう?この海老虹梁に施された龍の彫刻を見てください。胴をくねらせる龍の激しい動きが、見事に再現されています。精緻な技巧を凝らした木鼻は獅子と獏のよう。これでもか、これでもかと得意の鑿を振るった様子が覗えます。
彩色を嫌い素木(しらき)のまま仕上げているのも、その腕に自信がある証拠。三熊野神社本堂は県の文化財に指定されています。
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