境内右手にあるお堂は浜松市指定文化財の報恩堂。宗祖隠元禅師や開基近藤貞用の洪徳に報いるために独湛禅師が建てたお堂。正面に隠元禅師の等身大の木像を祀り、近藤家代々の位牌のほか、現在では境内東山中にあった「永思堂」に安置されていた独湛禅師の先祖の位牌も安置されています。
美しいのは、正面左右の漆喰壁を飾る丸い窓。白いところを見てしまうと凸を組み合わせたようにも見えてしまいますが、組子の形を見れば「卐」が浮かび上がって来ます。
日本では寺院の象徴として地図記号にも使用されていますが、それは左まんじ「卍」。報恩堂を飾る組子では左右ともに右まんじ「卐」が使われています。
元々は、インドのビシュヌ神などの胸の旋毛を模した形で吉祥の印ということですから、「卍」も「卐」も寺院の象徴としては区別していなかったようです。その「卍」をデザイン的に崩した文様が報恩堂の「卍崩し」です。