醫王寺の薬師堂の前に立つ1対の常夜燈。火袋は破損したらしく補修がされていましたが、「天保七年丙申戊九月」と刻まれていましたので、鎮守堂建立と同じ年、西暦1836年の建立。横に回れば「藥師如来」の文字が刻まれています。
使われている石は、鎮守堂と同じ伊豆石。常夜燈も鎮守堂の石垣を積んだ大川徳三郎の手によるものかも知れません。
火袋の下の中台「藥師如来」の文字の上には「菊水」が刻まれています。「菊水」の意匠は、仙人の長寿を保つ薬の水「菊水」に因んだもの。
医療の発達していなかった時代に薬師如来にすがるのは、延命長寿への切なる願い。水に浮かぶ菊花の文様に、薬師如来のご利益を身近なものに感じさせる意図があったのではないでしょうか?