磐田市鎌田にある鎌田山醫王寺は真言宗智山派のお寺。「医王」とは薬師如来を意味する言葉であり、醫王寺の本尊ももちろん薬師如来。境内に入るとすぐに目につくのは、小さ目の丸石を切り欠くことなく積み上げた「百姓積み」と呼ばれる石垣。「野面積み」の一種です。
石の大きさは、小さいものは拳より一回り大きいくらいのサイズから、大きいものでも頭ぐらいまで。玉石積みは脆そうに見えますが、軟質な部分がそぎ落とされた丸石は重くて固く、高く積み上げることをしなければ、切り出した軟質系の山石よりも堅固かも知れません。
石垣の隅石だけは、成形した石の長短を交互に積む算木積みの工法で、「寺勾配」と呼ばれる大きな反りが印象的です。