立須(たちす)の峰を構成する石灰岩の表面には、幾筋もの溝が刻まれています。これがカレン(karren=車の轍)と呼ばれる溝。石灰岩は炭酸カルシウムが主成分ですからに雨水や地下水で溶けやすく、この溝が深くなると割れ目になり、やがて大きな岩は分割され、カレンフェルト(karrenfeld)地形が誕生します。
そんなカレンフェルトを明るい山頂で眺め、手を触れながら登ります。私の後ろには、今年97歳になったという老人が登って来ます。
雨水の溶食作用に耐えて残った石灰岩塊の山。元気な97歳はすごいことですが、未だに融け続けている立須の峰にはまだまだ敵いません。