高根山の山頂下の平場に、高根神社が見えて来ました。拝殿は文亀2年(1502)の造営と話には聞いていましたが、斗供と呼ばれる木組みの複雑さから、確かにかなり古い建物と見受けました。
入母屋造の社殿には回廊が設けられ、正面の庇が少し前に張り出した流造。後ろ側には切り立つ山肌が迫っていますので、本殿は見当たりません。
実は、祭神である保食神(うけもちのかみ)が祀られている本殿があるのは背後の山頂近く。ここにあるのは拝殿だけですが、元々は馬頭観音を安置する観音堂として造営。明治6年(1873)に馬頭観音が大寶寺に移され、現在のように高根神社拝殿となったのだそうです。
拝殿から外を見ると、ほぼ真南に広がる家並の向こうに太平洋の輝きが見えます。
正月には初日の出を見るためにここまで登って来る住民たちも多いようです。私の暮らす磐田市南部では望んでも見られない風景。秋葉詣に向かった、あるいは秋葉詣を済ませたかつての旅人たちは、海岸近くの東海道ではなく、きっとこの道を通ったに違いない、と感じてしまうほど魅力的な絶景です。