旧田代家住宅を訪ねる③―「五榜の掲示」の高札

AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん

2017年04月10日 04:37

 玄関をくぐると、正面に「五榜(ごぼう)の掲示」の高札が掲出されています。

    定
一 人たるもの五倫乃道を正しくすへき事
一 鰥寡孤獨癈疾のものを憫むへき事
一 人を殺し家を焼き財を盗む等乃惡業あるましく事
   慶應四年三月   太政官

 右記 仰出趣堅可守るもの也  濱松縣

 「五榜の掲示」とは、慶応4年3月15日(西暦1868年4月7日)「五箇条の御誓文」発布の翌日に明治政府が民衆に対して出した5枚の高札。掲出されているのは、その第一札「五倫道徳遵守」です。

 ただし、「濱松縣」の発足は明治4年(1871)11月15日でしたから、この高札が掲出されたのはそれ以降のはず。

 その横に立つ太いケヤキ柱が、旧田代家の大黒柱。旧田代家住宅が建てられたのは安政6年(1859)でしたが、わずか9年後には、新政府によって「五榜の掲示」の高札が立てられ、時代は江戸から明治へと変わりました。

 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる①―国登録有形文化財
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる②―出桁造りと式台
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる④―帳場と御用提灯
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる⑤―巖谷一六筆の扁額
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる⑥―中村敬宇書の扁額
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる⑦―日下部鳴鶴書の掛け軸
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる⑧―貝原益軒の「大和本草」
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる⑨―「松に鷹」の欄間と虫籠窓
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる⑩―黒漆喰の袖壁
 【関連記事】旧田代家住宅を訪ねる⑪―4本のナギの木

 【関連記事】浜松「旧田代家」で歴史資料展 掛け軸など約30点、15日から
 【関連記事】田代家500年、書画や資料 天竜区で開館20周年特別展

関連記事